作文作文

小説とかじゃなくても単に文章を書いていくのが大好きです。
だからたまに物凄く何か書きたくなって、しかしストーリーだとかそういうものを考えるのが面倒な時、たらたらと紙なりエディタなりに文章を並べます。
ここ二、三日で特に気に入っているのが紙にばーっと書くことで、消しゴムは使用せずにとにかく言葉を並べます。当然文法はもとより内容も滅茶苦茶なんですけど、何となくすっきりする。面白いゲームをやっているような気持ちになります。

今ふと書いてみたもの。

『17分間』

ふと振り返ると竜崎が前後不覚になって眠っていた。僕がそう判断したのはいくら僕が起こそうとしても起きなかったからだ。
彼は僕が起きている限りは眠ろうとしない。監視のためなのだそうだ。彼は僕が何を云ってもすぐ「監視しなければなりませんから」「私はあなたをキラだと疑っていますから」などと云って僕を煙に巻こうとする。結局のところ彼は限りなく人間らしさを自分から排除した奴なのだろうと僕は投げ遣りに自分に云い聞かせて我慢することにした。だから竜崎は本当なら僕が起きている今、彼も起きていなければならないのだ。キラを追うという、それは崇高な目的のために。
僕は一旦眠った、だが寝苦しくて目をさましてしまった。脈拍の音が妙に響き、目が乾いた。咽喉の奥が苦いような気がする。そんな時特有の不快な気分が僕は嫌いだった。眉を顰めながら横を向くと竜崎が眠っていた。それは構わない。だが僕だけが起きていては竜崎は後で散々文句を云って一層やる気を失くすであろうことが目に見えていたので、僕は少し逡巡した後、溜め息を吐いて竜崎の肩を揺すった。「竜崎」僕が呼んでも竜崎は返事をしない。「おい、竜崎」目を開けるどころか閉ざされたまぶたは蝋細工のように青褪めていて、その瞼の下には目なんか無いような気がした。彼の中身は蝋とケーブルと幾つものハードドライブで出来ているのだ、きっと。
僕ははっとして竜崎を眺めた。竜崎はよく眠っていた。そうして恐らく完全に夢の中もしくは無意識の海に沈んでいた。きっともうしばらくはどんな光も届きはしない。僕はそのことに気付くと同時に、不安のような安心のような不思議な気分を覚えた。彼は目を覚ますだろう。それまでは眠ったままだろう。だが僕はどちらも嫌だった。二者択一の状況に追い込まれながらも選択の時間を与えられたような具合に、僕はどうしていいのかいつまでも躊躇った。いっそ今竜崎が死んでしまえばいいのにと思った。
困惑しながら僕の目には竜崎の血色の悪い肌に覆われた中身が見えていた。想像の中、竜崎の内部ではケーブルが毛細血管のように広がってゆく。彼の脳から始まったその灰色の血管は竜崎の体中をくまなく蹂躙してゆく。竜崎は苦しんだりはしないがどんな表情を浮かべているのかは僕には解らない。ケーブルに侵されてゆくのは竜崎なのに、僕の胸はどんどん苦しくなってゆく。最早微かに喘ぐように呼吸を繰り返す僕の目の前で竜崎の目をケーブルに支配された瞼が覆って、僕の想像は現実に戻ってくる。
途端、僕は何故自分がそんなことを考えたのかに吃驚した。竜崎が死んでしまえば、なんて。僕はいつの間にか始まっていた軽い耳鳴りに集中していくようにして目を閉じた。暗闇の中、始まりも終わりも解らない音がちらちらと脳裏を走る。僕は睡魔の裾をそっと手繰り寄せた。どちらも選べないのなら眠ってしまえばいいのだ。僕は眠る。そうすれば結末を知らずに済む。何の結末かは、もう考えたくも無かった。

……17分で書いたから17分間です(笑)。
大した意味は無い。多分手錠生活が始まって月が竜崎への複雑な思いを抱きだす前くらいの日々の、取り立てて特別な訳でもないワンシーン。そんな数分間もあった、というような。
これ某何かよく解らないブツの導入にしようかと思うんだけど微妙に長いですよね。導入にしては。
うーんもっとまともなのを書きたいな……!