だるいです!

働きたくないです!
しかし最近変な仕事を頼まれる……通訳とか翻訳とか、私は英語を使うためにこの会社に入社したんじゃないんですよ!ぷんぷん。


さて、最近仏英ばかり書いてるのは、動画サイトにあった仏英イメソンがあまりにも気に入って何度もリピートしちゃっているからです。そういうことにしておいて!



 イギリスとフランスは並んで座っている。
 フランスが傾けるワイングラスに反射される鈍い光を頬に浴びながら、イギリスはフランスの隣に座っている。
 二人が並んで座ることはわりと多い方だ。むしろ正面を向きあって座ることはあまりない。今この瞬間も、二人ともバーのスツールに腰掛けている。
 イギリスはふいと視線をあげて隣の男を見る。フランスの持つグラスの中のワインは、まるでグラスからはなれるのを惜しむようにゆるやかにかれの唇に吸い込まれていく。それをすこし眺めてから、グラスがカウンターにそっと着地するのを待って、イギリスはフランスの名前を呼んだ。
「フランス」
 ん? とフランスが柔らかな微笑とともにイギリスに向き直る。相変わらず指先はグラスを愛撫している。
「おまえには特別な相手はいないのか」
 あー居ないねえ、すぐにそう返したフランスの云う特別な相手と、イギリスが想定している特別な相手というのはたぶん同じだ。国であるかどうか、それ以前にその人を愛さずにはいられないような相手。共に生きて共に死にたいとおもうような。
「、……」
 言葉を発しかけてイギリスは唇にかかった言葉を飲み込んだ。
 だって俺は俺の国民を愛しているからね。フランスはやさしく笑っている。だれでも俺の恋人になることはできるけど、俺が真実の愛をささげる相手は永遠に変わらない。俺の国民にだけだよ。
「そうか」
 イギリスは頷いた。


 イギリスとフランスは隣同士に座っている。一人はウィスキーの氷をころころとグラスの中で転がしながら、もう一人はワインを波立たせながら、お互いの隣に居る。
 イギリスはフランスを愛している。何も云わず、伝えず、変えず、隣に座り、イギリスはフランスを愛している。幸せそうに微笑むフランスを見ていとしいと感じるイギリスもまた、真実の愛情は国民に捧げている。ひとかけらぶん、自分の分の愛情を握りしめて、イギリスはフランスを愛し続けるだろう。



おわったはず