無題

時々人の言葉が認識できなくなる。言葉は言語じゃなくて音になる。人が私とは違ういきものになる。そういう瞬間は時折訪れて、私は少し驚きながら、でもどこかで冷静に理解している。人が音を発しているとしか聴こえていない私のほうがおかしいのは解っている。でもそんな瞬間には、私は音を発している人々を人として認識していない。
こんな瞬間はすぐに終わる。音はいつの間にか言葉になっている。
私は人々と同種のなにかになる。