墓標
しじゅう黙りこくったままの僕の背を誰かの手が軽く叩いて、
にくしみを見失っていることに僕はようやく気がついた。
がくぜんとせずにはいられない。
密葬された竜崎の棺は余りにも非現実的だった、
のみならず僕は彼が死を宣告されたところを見てもいない。
あれだけ殺したかったと云うのに、どうだろう。
かけらだって現実味はないのだから。
いらだちを煽るように鈍くひかりを反射する灰色の建物を見据える。
手はとどかないけれど、僕にとってはあれが彼の墓標だ。
解り難いかなあ……?
縦読みに特に意味はありません(笑)。ちょっとやってみたかっただけ、です。
ちなみに、これを書こうとふと思い立って、改めてPage.58とPage.59を読んだら涙が込み上げてきて心底驚きました。やっぱり竜崎が死んでしまったのが悲しいです。もう生きていたという展開は絶対にないんでしょうね……。
お付き合い有難うございましたっ。