苛々してやった

今は反省している
何故これはまだまだ続くんだろう、『呼吸(ry』4回目。

「竜崎……一体何がしたいんだ」
 溜め息と共に月が云い、ソファから投げ出されていた腕を上げて目を覆った。どうやら月からすれば、たった今のささやかな格闘は竜崎の取る奇行の一つに過ぎないらしかった。何か不当に責められたような気分になって竜崎は月を見下ろした体勢のまま爪を噛んだ。
「……月くんによかれと思って」
「何を云ってるか解らないよ……」
 暫くの沈黙の後に返した答えは、月には理解されなかったらしい。竜崎と目を合わせるために僅かに上げた腕の下、月はますます疲れた顔をして再び深く嘆息した。
 竜崎はと云うと、月がやはり礼儀を忘れないことに気を取られている。
「もういい。僕は少し……休む」
「では寝室で、」
 思い出したように月の上からどこうとする竜崎を、月は指先だけを振って制した。
「いや……何だか動くのも億劫だ」
「解りました」
「ん」
 月は目を閉じたらしい。仕方がないので、竜崎はそれを見守る。
「……」
「……おい」
「何か」
「どうでもいいけど、いい加減どけよ」
「はあ。しかしどいたら座る場所がありません」
「もといた場所に戻ればいいだろ」
「月くんが寝転んでいるのでその分届きませんが」
「じゃあ床に座れば」
 月はもはや視線を合わせることすら面倒になったのか、目を覆ったまま呟くようにして話している。もともと疲れていたところに取っ組み合いなどをしたので更に疲労が増したのだろう、気力が全く感じられない。
 竜崎からは月の唇しか見えない。それで竜崎は月が唯一動かしている唇をぼんやりと眺めた。月が結果的に休息をとる気になったのは悪いことではないが、竜崎の行動は月を一層疲労させたようだ。これでは当初の目的であった月の寛ぐ姿など到底見られそうになかった。

あー……まだ続くなあ。そしてこれは一体どこへ向かっているのやら……。