つづき

『呼吸の作法』つづき。

 月は竜崎の前では捜査資料に向かっているか、あるいは生活に必要な諸動作をとっているかで、竜崎はそれ以外のことをしている月を見たことがない。監視カメラを設置していた頃も似たようなもので、月は決して躾の行き届いた姿勢を崩さなかった。だから竜崎は月が自分で云うように完全に寛いでいるところを見たこともない。なら、月はいつ本当に息抜きをしているのか。
 竜崎はよく月が猫のように伸びをしてから丸まる姿を思い浮かべる。よく似合うようでいて実際の本人が全くとりそうにないリラックスの姿は竜崎の想像の中でだけ鮮明だった。
 横目で月を視界に入れる。画面をじっと見つめる背筋はすっと通って、不作法の付け入る一分の隙もない。

つづく。
なんか連載ぽいなあ。昨夜唐突に思いついただけなので、自分でもオチが見えません。まあL月の日常か何かだと思って下さい。